珈琲 (17)
インスタントコーヒーを飲むとき、よく思う事がある。 ルイ・フェルディナン・セリーヌ(Louis-Ferdinand Céline)は、その独特の文体や反ユダヤ思想で有名な、両大戦期、戦後にかけて活躍したフランス人作家である。大学時代、初めて彼の代表作、「世の果てへの旅」(中公文庫 生田耕作訳)を読んだとき、最終章の生々しく繕いの無い表現と疾走感に、衝撃を受けたものである。自分は、反ユダヤ主義でも何でも無いが、その特異な文体に惹かれ、以後、彼の作品を何冊か読み進めることとなった。 第二次大戦後、以前書いた反ユダヤ的評論や政治的パンフレットが原因で、逮捕状が出され、彼はデンマーク等で亡命生活を送る…